ホームスクーリングに興味はあるけど、うちの子は長い時間集中していられないから、学校の授業を家で全部やるのは無理、とあきらめていませんか?
オーストラリアではホームスクーリングが合法で、かつ家庭のよって、様々な教育方法が採用されています。
この記事では、中でも一般的なアンスクーリング、ハックスクーリング、スクールアットホームのアプローチとそれぞれの特徴と違いや、そのメリットとデメリットを詳しく解説します。
お子さんの学習スタイルやニーズ、家庭の教育方針や価値観に合わせて、あなたの家庭に最適なホームスクーリングのスタイルを見つけるのにお役に立てたら嬉しいです。
【オーストラリアの教育制度】ホームスクーリングの種類は?
ホームスクーリングには大きく分けて次の3種類あります。
- アンスクーリング
- ハックスクーリング
- スクールアットホーム
ホームスクーリングを選択した家庭は、子供のレベルや興味、学習能力、家庭の教育方針によってどの方法を選ぶかは様々です。また後述しますが、上記のどれかの方法を選ばなければならないわけではありません。
どのやり方を選んでも合法なの?
ホームスクーリングの登録をして、州の教育省が規定している教育基準をカバーしていれば、どのやり方でも合法だよ。まずは、ホームスクーリングの基本的ことを知ってね。
ホームスクーリングの基本的な知識
ホームスクーリングでは、子どもの興味や学習スタイルに合わせてカリキュラムを調整することが可能です。オーストラリアでは、各州によって異なる規制がありますが、一般的には柔軟な教育計画が認められています。特に小学生の場合、基本的な読み書きや算数から、科学、芸術など幅広い教科をカバーすることが推奨されています。
ホームスクーリングを選ぶ理由
ホームスクールを選ぶ理由は家庭によってそれぞれですが、人気理由として、子ども一人ひとりのニーズに合わせた教育が可能であることは大きいです。
従来の学校教育の中で、授業についていけなかった子供たちや、学習スタイルが合わなかった子ども達は、ホームスクーリングをすることで、自分たちに合ったレベルや速さで、または自分たちの学習スタイルに合わせて進めることが、ホームスクーリングの大きな利点です。
また、それぞれの子ども達の興味や関心を探求できることも、ホームスクーリングならではの利点です。
オーストラリアのホームスクーリングの3種類の特徴と違いは何?
「アンスクーリング」「ハックスクーリング」「スクールアットホーム」はオーストラリアのホームスクーリング家庭でよく使われるアプローチです。
それぞれの簡単な特徴と違いは、このようになっています。
ひとつずつ詳しく説明していきます。
アンスクーリングの特徴とやり方
アンスクーリングの特徴は、子どもが気の向くままに学習するという点で、子どもの自然な好奇心と学習意欲に基づいた教育アプローチです。オーストラリアでアンスクーリングを実践する家庭では、学校教育で一般的に行われる教科や時間割にとらわれず、子どもが興味を持ったテーマや活動に集中することを大切にしています。
またもっと身近なとこで言えば、例えば料理や、植物の成長、チェスやボードゲーム、キャンプファイアの火のつけ方などもアンスクーリングの学習として用いられます。
アンスクーリングは子どもの興味を伸ばしながら、子どもの興味を元に学習していくスタイルです。
アンスクーリングのメリット
アンスクーリングの最大の利点は、子どもが自由な環境で学び、自己主導的な学習能力を育むことです。この能力は子どもの時にはもちろん、大人になってからも大変役に立つ能力で、生涯の財産となるでしょう。
また、子どもが時間割に縛られることなく自分のペースで学習を進めることができるので、ストレスが少なく集中しやすい環境で学習できます。
のびのびした環境で学習できて、きっとこれが本来の子どもの学習体制なんだろうなあと思います。
アンスクーリングのデメリット
アンスクーリングでは、規律や構造が不足しがちで、例えば、自然探求が大好きな子供は、外に出て自然について深く学ぶかもしれませんが、算数の九九が全くできない、文字が書けないなど、一部の基本的な学習要素が欠ける可能性があります。通常の学校生活に戻ろうと思ったときに、同じ学年の勉強についていけないということが懸念されます。
また、このアプローチは親がその環境やリソースを準備することもかなり大変です。例えば、自然の探求をしたい子供がアンスクーリングで学ぶためには、自然に多い所に連れて行かなければなりません。このことはアンスクーリングを進めるうえで大きなジレンマになるかもしれません。
オーストラリアでアンスクーリングを実践する際も、在住している州が提示している教育基準や規定を満たすことが求められます。子どもの全面的な学習ニーズを満たすためのバランスを見つけることが重要です。
オーストラリアのハックスクーリングの特徴とやり方
ハックスクーリングの特徴は、学習者が教育システムを「ハック」して、それぞれの興味、情熱、目標に合わせて教育をカスタマイズした学習方法。
技術、プロジェクトベースの学習、実践的な経験を通じで学習します。学習者が自分の興味や情熱に従って、自分自身の人生やキャリアの目標を達成するために自主的に学ぶ能力を育みます。
ハックスクーリングは、目標を達成するために必要なスキルや知識を習得することに重点を置いているのが特徴です。学習例でも分かるように、彼は計画を作り達成するために、物理学、数学、電気工学の知識を学びます。また、リサーチするうえで、読解力や語彙力も増えます。このように、ハックスクーリングはカリキュラムにとらわれない学習方法です。
TED Talksに登壇した13歳のローガン・ラプラント君の動画を紹介します。
彼はホームスクーリングをするにあたって、自分が興味を持ったことを自ら学ぶ方法を採用しています。スピーチの中で「僕はそれをハック・スクールと呼びます。」と言っています。【ハックスクーリング】と言う言葉は彼によって広められたのかもしれませんね。
彼のスピーチの中で、以下のようなことを言っています。
「一度何かに興味を持ちそのことについて学びだすと、僕たちはとても短い時間でたくさんの事を学ぶことができるんだ」
「学校に行っている時は作文が嫌いだった。先生は僕にチョウの事や虹について書けと言うから。でもホームスクーリングを始めて、僕のママは僕の興味のあるスキーのことを書かせてくれた。それで僕は書くことが好きになったんだ」
私もホームスクーリングを始めて4年目になりますが、子どもたちは、自分が興味があるものだと、信じられないくらいの速さで物事を習得します。私たち大人は、強制して学ばせるよりも、子供たちが興味のあることを学べる環境をどのようにして作り出すことができるかを考えるほうが、子どもの学習を促すには近道かもしれませんね。
ハックスクーリングのメリット
ハックスクーリングのメリットは、子どもの情熱や目標に基づいて学習するため、学習が苦にならず、自主的に学んでいくことです。子どもの興味の芽を摘み取らずに伸ばしていくことができるのは大きなメリットです。
また、創造性や問題解決能力を高めることにも貢献します。
現代社会で問題になっている、「指示待ち」の大人になるのを防げますね。
ハックスクーリングのデメリット
ハックスクーリングは子どもが自分自身の学習プロセスを管理する必要があるので、それができない子どもにはハードルの高い学習方法です。また子どもの興味、情熱にもよりますが、学習範囲の専門性の高い場合、例えばプログラミングなどは保護者の知識がついていかない場合があり、サポートが難しくなります。
子どもの興味や関心によっては、リソースを集めたり、技術を学ぶための費用が高額な場合も考えられます。
そして、アンスクーリング同様、一部の基本的な学習要素が欠け、従来の教育システムの適応や試験の準備が難しくなる可能性もあります。
オーストラリアのスクールアットホームの特徴とやり方
スクールアットホームの特徴は、学校のカリキュラムを自宅で行うという点です。このアプローチはオーストラリアのホームスクーリングで最も一般的に使われる手法で、アンスクーリングやハックスクーリングとの違いは、子どもの学習が受動的である事です。
スクールアットホームは、作られたカリキュラムを購入、または親が自分でカリキュラムを作り、それに沿って子どもたちの学習を進めていきます。
我が家も、ホームスクーリングを始めた当初は、ホームスクーリングを支援している機関から、カリキュラムをまるまる購入し、それに従って教材を買い、子どもたちの学習を進めました。
スクールアットホームのメリット
スクールアットホームのメリットは親が何をいつ教えるべきなのかが明確なことです。そのため、教える側は計画が立てやすく、また、学校に通う他の子どもたちとも足並みそろえることが可能なので、通常の学校生活に戻りたいとなった時に、心配なくもどることができます。
また、学校に通う同年代の子どもたちと同じカリキュラムを進めていく上で、一対一、または少人数での学習が可能なため、学習者のニーズに合わせた指導が可能です。
スクールアットホームのデメリット
デメリットとしては、教える側(親)が授業の準備などに時間がかかることです。またカリキュラムの購入から、それに合わせた教材の購入など、初期費用がかかるのも大きいです。また、学校と同じカリキュラムなので、子どもたちが飽きないように授業をするのもなかなか骨が折れます。
我が家もスクールアットホームのアプローチでホームスクールを進めていましたが、学年やスキルが異なる3人分のカリキュラムを準備するのが大変すぎて、断念しました。
現在は、スクールアットホーム、アンスクーリング、ハックスクーリングの全てを混ぜたハイブリット型で、従来のカリキュラムに沿う算数と国語をしながら、理科、社会、美術などは、子どもたち主体のアンスクーリングまたは、ハックスクーリングで行っています。
まとめ
今回紹介したスクーリングのうち、どれか一つを選んでやらなければならないということは決してありません。我が家も混ぜ混ぜのスクーリングですし、名前は後からつけられたものにすぎません。どれが良い・悪いではなく、お子さんとご家庭に合っている学習計画を立てて、ホームスクーリングを楽しんでくださいね。
オーストラリアのホームスクーリング、私にもできる?メリット、デメリットは?疑問な方はこちらの記事を読んでみてくださいね!
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