オーストラリアに家族で移住を考えている、オーストラリアの都会から田舎に家族で引っ越そうかなと考えている、そんな方にこの記事をお届けします。
物価の上昇に歯止めがかからないオーストラリア、都会を引き上げ、生まれ育った田舎街に戻る現地人も多い中、これからオーストラリアに住むなら田舎の方がいいかな、と考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、ワーホリで来た若くて独身の場合ならともかく、「家族で」と考えるなら、勢いで田舎に飛び込むのは危険です。
この記事では、シドニーから北西に車で7時間走らせたところにある、人口2500人の街、日本人人口1の田舎街に家族5人で住んでいる経験から、家族でオーストラリアの田舎に住む現状と、そのメリット・デメリットをお話します。
この記事を読むと
オーストラリアの田舎街に家族で住むリアル
オーストラリアの田舎暮らしのメリット・デメリット
オーストラリアの田舎に住む心構え
が分かります。
オーストラリアの田舎に移住(引っ越し)を考えている方の、参考になればうれしいです。
オーストラリアの田舎に家族5人暮らしの現状

わが家はオージー夫、長女14歳、長男12歳、次女9歳、そして私の5人家族です。田舎街に引っ越した理由は、夫が実家の農家を継ぎたいと懇願したため。
この街に住んで、かれこれ10年になります。ここに来る前、今住む街よりも、もう少し都会ではあるものの、シドニーに比べれば断然田舎の街に住んでいた期間も入れれば、私のオーストラリア田舎暮らし歴は16年になります。
田舎生活にも慣れたので、オーストラリアの田舎に家族で住むリアルをシェアできればと思います。
田舎暮らしの日常
都会、田舎に関せず、オーストラリアに住む母親の朝は、子どものお弁当作りから始まります。
学校に行く準備ができれば、スクールバスのバス停まで車で連れて行きます。都会ならば、日本のように歩いて通学する子どもたちもいますね。
都会と違うところを挙げるとすれば、田舎では残業する人がほとんどいないという点でしょうか。17時になれば、街は道端に落ちている空き缶が、風に吹かれてゴロゴロと転がるのが聞こえそうなほど静まり返っています。
私の住む街には、カフェが3軒あります。2軒は14時に閉店、残りの1軒は17時まで営業という、田舎では珍しく遅くまで開いています。外食ができる場所はパブと、中華レストランと、ボーリングクラブに設置されたレストランの3つくらい。
街にあるスーパーは大手チェーン店(ウールワースやコールズ)ではなく、地元民が経営するもの。そこに買い物に行けば、必ず知り合いに出くわすことは避けられません。
子どもの習い事も限らるので、学校の友達がみんな同じ習い事をしている、というのは珍しくありません。習い事と言っても塾はなく、スイミングやダンス、サッカー、ネットボール、クリケット、フットボールといったスポーツのみ。
都会に比べて家と庭が広いので、子どもたちは姉弟と一緒に庭で遊んだり、テレビを見たり、インターネットをしたりして、放課後に友達と遊ぶことは、習い事があるときを除けば、ほとんどありません。

田舎に限らず、オーストラリアでは学校まで親が迎えに行くか、スクールバス送迎だから友達と放課後も遊ぶことはあまりないよ。
私の日常はと言えば、外で働いていないので、子どもを学校に送り出してからは、掃除洗濯などこなし、家庭菜園やニワトリのお世話などするのが日課です。
田舎暮らしの生活費
以前住んでいた街では、さらに田舎に引っ越すということで、夫は会社の人に「お金が貯まるからいいねえ」と言われていました。実際に遊べるところや外食するところが少ないので、娯楽費はだいぶ抑えられていると思います。
ただ、食費となると、田舎のスーパーは競争相手がいないので、比較的高いです。シドニーなどの都会ではマーケットがあり、新鮮な野菜や肉、ナッツ類など安価で手に入りますが、田舎街にはそれがありません。
ここで1週間分の食料を買ったときと、都会に出てマーケットや大手のスーパーで1週間分の買い物をするときでは、裕に$100 (1万円)を超える差が出ます。
特に私が住むような、内陸の田舎では魚介類は手が出せないほど高い場合が多いうえ、新鮮な野菜も自分で育てない限り、なかなか手に入りません。

農業の街なのに、新鮮な野菜が手に入らないの?

場所にもよるけどね。内陸は雨が降らないから、穀物農家なのよ。
とはいえ、農家は自分たちが食べるための家畜を育てています。野菜や肉は安く手に入らないけど、お肉は手に入りやすいです。田舎に移住したときは、農家の人にお肉を直接買えないか聞いてみると、案外快く承諾してくれるかもしれません。

それで、柚葉は1か月の生活費はどれぐらいなの?

うちは、1か月食費を$600(約6万円)日用品を$250(約2万5000円)ガソリン費を$500(約5万円)としてるよ。

ガソリン代高い!!

田舎暮らしは車がないと、どうにもならないからね。
田舎の学校
家族で田舎に住もうと願ったときの一番の心配事項は、子どもの教育ですよね。
という私は、子どもが就学前だったこともあり、あまり気にせずに引っ越してきてしまったのですが、どこに住むのか選択肢がある場合は、子どもが通うことになる学校のことをよく調べてから決めるのが賢明です。
田舎街には大抵の場合、公立小学校と、カソリックの小学校があります。公立小学校は、オーストラリア国民または永住権所持者の場合は無料、カソリックは、学校により学費が変わってきますが、都会のカソリック小学校に比べると安いです。
次女が通うカソリックの小学校は、年間$2200(22万円程度)。私立とはいえ、制服は簡易なものなので、それほどお値段はしません。

わが家は、学校のclothes poolという卒業生などに寄付されたおさがりを$5で買っています!
オーストラリアの学校は給食を提供しないので、公立校にせよ、私立校にせよ、子どもたちのお昼ご飯は、お弁当または、学校のキャンティーン(購買)で買うようになっています。
学年には基本的に1クラスしかなく、キンダーガーテンから6年生まで同じクラスです。次女の通う学校では、最近出戻りしてくる若い人たちが増えたためか、生徒が多く、今年はキンダーガーテンと1年生は2クラスになっているようです。
先生は生徒、または保護者との関係が近く、問題が起きたときは相談しやすいのが田舎の学校の魅力です。先生たちも全校生徒のことをよく知っているようで、すれ違いには声をかけたり、話をしたりしてくれるようです。
田舎に仕事はある?
田舎で仕事を探すのは、そんなに難しくありません。子どもが増えたとはいえ、やはり雇いやすい、高校生や大学生は街を出てしまうので、アルバイトならすぐに見つかると思います。

英語力は問われる?

残念ながらね。少なくとも理解はできるぐらいだといいね。
フルタイムとなると、役所か学校の先生、幼稚園、保育園の先生あたりが無難な勤め先と言えるでしょう。私のように旦那さんの家業を継ぐために田舎に移住してきた妻たちが、教員免許を取るのは珍しくありません。
私のインド系マレーシア人の友人は、食品を扱う資格を取って、自宅でインド料理のテイクアウェイのお店をしていました。
他にも、モノを作って売ったり、チューターをしたり、芝刈りのビジネスを始めたりなど、自分で仕事を立ち上げる人は少なくありません。

私も頼まれて、日本語のチューターをしているよ。
会社に雇われなくても、おこづかい程度(あるいはそれ以上)を稼ぐのは難しくありません。
また、田舎ほどコネの力を発揮するところはありません。仕事を探しているなら、隠さず周りにそれとなく伝えておくと、知り合いの知り合いから仕事をもらえたりします。

普段から信用に値する行動をしておくと、引っ張りだこになるかも!
オーストラリアの田舎に家族で住むメリット

オーストラリアで田舎に住むと話したとき、日本人の友達には「猛毒のヘビやクモがいるよ」「そんなへんぴな所でどうやって暮らすの」の心配されました。
彼女たちの言っていたことは一理あって、確かにヘビやクモがいます。義兄の住むクイーンズランドの田舎街では、ワニにも気をつけないといけないようです。
とは言え、それらに出会うのは日常茶飯事ではありませんし、こちらが攻撃しなければ、襲い掛かってくることはありません。
オーストラリアの田舎に住むメリットと天秤にかければ「そこまで気になることではない」が私見です。
ここでは私が思う、オーストラリアの田舎に住むメリットをご紹介します。
自然豊かで子どもがのびのび育つ
「子どもがのびのび育つ」これに限るのではないでしょうか。オーストラリアの田舎は本当に広大です。私の住む農場の家からは、80km先の山がきれいに見えます。
木や草はいたるところに堂々と生い茂っていて、川遊びをする子どもたちの楽しみはザリガニ採りです。
動物も、猫やキツネはもちろんのこと、カンガルーやエミュー、イグアナやハリモグラ(Echidnas)もよく出てきます。それらがどのように動き、犬や猫などからどうやって身を守るのか、そんなことを観察するのが子どもたちの日課です。
走り回ろうが、大声を出そうが人に迷惑をかけることはなく、地平線や山並みから朝日が昇り、夕日が沈むのを見ることをができる。
冬になれば、外で火を焚き、バーベキューをしながら、夜空に浮かぶ無数の星を何の妨げもなしに見ることができる。そんな自然と密接して暮らせる環境をさがすなら、田舎暮らしに勝るところはないかなと思っています。
自給自足も夢じゃない
庭が広いので、家庭菜園が容易にできます。これは、農場でなく街に住んでいても同様で、田舎では大きな庭付きの家が一般的です。
この街に住む人たちは、ほとんどの人が家庭菜園をしていて、採れた野菜は食卓に出したり、他の人と交換したりしています。
そして、多くの家庭でニワトリを飼育しています。これは卵を食べるためですが、子どもたちの教育にも実は一役買っているんです。

ルースター(雄鶏)がいないとひよこは生まれないのよ、とかね。大切な教育です。
自分で育てたものは安心して食べれるので、うれしいですね。
みんながみんなを知っている安心感
小さな街の小さなコミュニティなので、大人も子どもも、お互いに相手が誰なのかを知っています。
「地域で子どもを見守る」というのが、暗黙の了解のようになっていて、親が何らかの理由で、子どものすぐに子どもの側に行けなくても「誰かしらが自分の子どもをちゃんと見ていてくれる」という安心感があるのは、とても心強いです。
お金が貯まる
ここに引っ越してくるときに夫の同僚が言ったように、お金は貯まりやすいと思います。娯楽が少ないので、無意識にお金を使う場所がないからです。
シドニーに住んでいるころ、私は仕事をしていましたが、行きかえりにはお菓子を買い、ランチを買い、コーヒーを買っていましたし、可愛い小物を買ったり、割高な日本の食材を買ったりするのは日常茶飯事でした。
また、都会には韓国料理、ベトナム料理、日本食などなど、いろいろなレストランがあるため、飽きることなく外食も多かったです。
シドニーで若い夫婦が住める家といえば、団地のようなアパートで、ベランダもない窮屈な場所だったので、週末は家にいたくなくて、どことなくお出かけしていたのも、出費がかさむ原因でした。
シドニーから以前住んでいた街に移住してからは、週末になれば、ここぞとばかりに庭の手入れをしたり、畑で土遊びをしたり、広い家の掃除をしたりで、家にいることが多くなりました。
今住んでいる農家へ越してからは、さらに外出が少なくなり「何に使ったのかわからない」出費はかなり減りました。田舎には外出しようにも、行くお店もありませんし、遊べるところもありませんからね。

好き嫌いが分かれるところですが、私は家にいるのが好きなので、苦になりません。
庭付きの一軒家が安い
私が住んでいるような、人口が3000人ぐらいの小さな街になると、アパートのような場所はありません。2階建ての家すら、街に1、2軒です。
ほとんどの家が平屋で、寝室が3つ以上あり庭がついています。物価の上昇で家の値段が急激に上がったオーストラリアですが、田舎街にはあまり影響はなかったようです。私が住む街では、家の平均価格は20万ドル(2000万円)以下です。
しかしながら、家を購入するなら田舎の方が断然安いかもしれませんが、賃貸で住むとなると、話は別です。私の住む田舎町の平均的な家賃は$350/週(約3万5000円)と、家の価格に見合わない高さになっています。

購入するなら安いけど、借りるのはそれほど安くないね。

田舎あるあるかもしれないね。
それでも、これだけの広さの庭付きの家を$350/週(約3万5000円)で借りられるのなら、オーストラリアの感覚では安い方かもしれません。
人とのつながりがある
シドニーに住んでいるときは、同じアパートに住む人のことはもちろんのこと、お向かいさんの名前や顔すら知りませんでした。
仕事をしていたので、勤め先のボスや同僚のことはもちろん知っていましたが、私の場合は、仕事以外で会うこともありませんでしたし、仕事をやめてしまったらそれまでの関係でした。
今住むところでは、60㎞m先に住む人でも、同じ道沿いに住んでいれば「ご近所さん」で、クリスマスになると「ロードクリスマスパーティ」があり、みんなで集まってバーベキューをします。
近所付き合いが「めんどくさいな」と思うこともありますが、なにか困ったときに助けてくれる人がいるのはありがたいですね。
人づきあいがあると言っても、お互い干渉しないので、うっとうしさはありません。

オーストラリアの文化のいいところです。
オーストラリアの田舎に家族で住むデメリット

田舎に住むことのメリットを理解していただけたでしょうか。でも、きっとあなたが知りたいのはデメリットの方じゃないかな、と思います。デメリットを理解したうえでないと、決心はつけられませんよね。
オーストラリアの田舎暮らし、デメリットは確かにたくさんあるんです。10年住んでみて、これはデメリットだな、と思うことをまとめました。
学校が選べない
田舎に住むことで、最近感じる1番のデメリットです。
小学校が2校しかないので、1つの学校で問題が生じ、別の学校に転校させたとして、そこでもダメだったら、八方塞がりです。
もちろんホームスクーリングという手もありますが、経験上、誰にでもおすすめできることではありません。
また田舎には、小学校は2校あっても、ハイスクール(中学・高校一貫)は公立が1校しかないのがほとんどです。
私が住む街のハイスクールは、とてもではありませんが自分の娘を通わせられる学校ではありません。いじめは日常茶飯事、盗難、先生おどし、クラス崩壊、アボリジニ差別(アボリジニが優遇される)何でもありの学校です。そこに通う子どもたちは口を揃えて「行くだけ無駄」というほどのダメっぷり。
そんな評判ですから、小学校6年生を終えると、子どもたちはボーディングスクール(全寮制中高)に入るか、家族全員で良い学校のある街へ引っ越すほどです。
わが家の長女も全寮制に入っていますが、そのお値段は想像を遥かに超えます。
日本では大学まで実家から通っていた私からすると、12歳から寮ぐらしは早すぎますし、そして物価の上がり続けるオーストラリアの学費+寮費は一家の生活を犠牲にするほどです。
子どもの習い事の選択肢が少ない
子どもの習い事も限られてきます。大都市にはある、ダンスやピアノレッスンという類のものは、田舎街ではなかなか見つけられません。
最近ではオンラインのレッスンも充実していますが、やはり子どもの習い事となると、対面で「お友達と一緒にする」のが醍醐味なのではないでしょうか。
特に、中・高生の運動でエネルギーを発散させるべき年齢の子どもたちが、進んで運動するような機会がほとんどないので、校外での生活が乱れる悪循環が発生するのも納得できます。
子どもの日本語教育が困難
日本語学校はもちろんのこと、日本人がいないので、親以外に子どもと日本語を話す人がいません。そうすると、自然と日本語環境はなくなります。
私も長女が小さいころは、日本語で話しかけ、日本語の本を読みと、日本語教育に力を入れていましたが、長女の物心がついてきて、お友達ができるようになると、日本語での会話をめんどくさがるようになり、自然と日本語を話さなくなりました。
14歳になった今では、日本語は理解はするようですが、残念ながら全くしゃべれません。
何かと値段が高い
競争相手がいないので、売り手市場。スーパーでの物の値段や、サービスの値段が都市に比べて高い場合が多いです。
しかし、サービスを提供するための材料の調達料を考えると、一概に競争相手がいないから好き勝手値段をつけている、とも言えないかもしれません。

「田舎だからしょうがないよね、お互いしんどいよね」と、おおらかにいることが田舎暮らしを楽しく生きる秘訣だと思っています。
エンタメが少ない
田舎に住むメリットでも書きましたが、娯楽が少ないです。週末のマーケットもありませんし、ショッピングモールもありません。
子どもたちが遊べる場所も限られているので「週末は家で遊ぶ」のが普通です。
それを「暇」と感じる人にはかなりのデメリットとなるでしょう。

私は畑いじりをしているだけで日が暮れてしまうので、苦になりません。
常に子どもの専用ドライバーになる
これもなかなか大変です。オーストラリアは国全体が車移動の国ですが、田舎は本当に車がないとどこにも行けません。スーパーのすぐ近く、学校のすぐ近くに住んでいない限り、どこに行くにも車です。
子どもの放課後や週末のスポーツ、友達と遊ぶ約束をしたときなど、子どもの用事はすべて親が車で送り迎えになるので、大変です。

タクシーじゃないのよ!って言いたくなります。
何かと不便
今では何でもオンラインで購入できるので、昔ほど不便を感じませんが、やはり、大きな街でならスーパーで手に入る物が、オンラインでしか手に入れられないのは多少不便です。
物だけでなく、マッサージや整体などのサービスを受けるには、大きな街まで車で2時間ほどいかなくてはならず、せっかく整体を受けたのに、また車に2時間乗って帰るのは苦行のほかありません。
また、田舎街では銀行、薬局、郵便局、図書館が12時半から1時半まで昼休みを取るという、やる気のなさすぎる行動が堂々と取られるのも、超絶不便です。

これに慣れるのには時間がかかりました。
治安が悪いエリアが目立つ
治安が悪いエリアはどこの街にもあります。もちろんシドニーやメルボルンにもあるのですが、田舎街はエリアが狭いゆえ、治安の良いエリアと悪いエリアの境目があまりなく、街全体が「悪い」感じになってしまいます。
昼間は治安が悪いとは感じませんが、夜は怖くて出歩けません。
まとめ
オーストラリアの田舎に家族で移住するメリットとデメリットを紹介しました。
どこに住むにしても一長一短といったところですが、家族で移住するときは、その土地の学校の評判を調べておくことは大事だと思っています。
オーストラリアでは引っ越しや転校が珍しくなく、子どもが小さいうちは田舎に住み、そこでお金をためておいて、子どもがハイスクールに行くようになったら、良いハイスクールのある土地へ移住する、というのもよくある話です。
移住準備のお役に立てれば嬉しいです。
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