オーストラリアで中学生の子どもを全寮制の学校(ボーディングスクール)に入れることに抵抗がある。13歳から寮生活させるなんて可哀想かな、と悩んでいませんか?
日本でいうと中学校1年生。寮生活なんて考えもしない年齢ですよね。私自身、13歳なんてまだまだ親が近くにいないといけない年齢、心のケアも必要だし、そんなに低年齢で他人に子育てを任せるなんて、無責任だとまで思っていました。
しかし、子どもに合わない学校に無理に行かせたり、好まない環境にとどめたりすることで、子どもの好奇心は枯れ、うちにとじこもるようになるという悪影響は大いに起こり得ることです。
そこで、この記事では、私たち夫婦が、全寮制中学校反対から、中学生の長女の寮生活を選択肢に入れるまでの経緯と、実際に入学に踏み切った理由をご紹介します。
子どもを低年齢で手放すことに罪悪感があるママや、全寮制の学校(ボーディングスクール)に入学させる適齢期に悩んでいるママに、こういう考え方もあるんだな、と思っていただけるかと思います。どうぞ最後まで読んでみてくださいね。
全寮制中学を選択肢に入れた理由は?オーストラリアの田舎の学校事情
私が長女の中学寮生活を選択肢に入れたのは、長女が中学生になってからでした。それまでは、中学生が寮で生活するなんて早すぎる!と思っていたので、全寮制の学校はまったく視野に入れていませんでした。
しかし長女が中学生になり、現実を目の当たりにした時、全寮制の学校を視野に入れざる得なくなりました。
オーストラリアの田舎の学校
私たち夫婦が、長女をオーストラリアの全寮制中学校に入学させることを選択肢として考え始めた理由は、自宅から通える距離にあるハイスクール(中高一貫学校)が、とても通わせられる状態ではなかったからです。
オーストラリアの田舎の学校すべてが必ずしもそうという訳ではありませんが、私たちの住む街の学校は、とても子どもが安心して学校生活できるようなところではありません。
主な理由は、
- 生徒は基本的に先生の話を聞かない
- 授業が授業にならない
- 絶え間ないいじめ
などがあげられます。
学校に通う理由は勉強だけではありませんが、それでも勉強をしに行っているのに、授業が授業にならないうえ、いじめにびくついて、他の生徒の悪い言葉使いや悪い習慣を習ってくるのでは、学校に行かせる意味がありませんよね。
なぜ授業にならないのかというと、まず生徒が先生の話を聞かず、教室内で大雑音を作っているから。そして生徒の学力の差が大きすぎて、先に進めないということが起きているからです。
暴力を含むいじめも日常茶飯事で、13歳が学校生活を安全に送れるところだとは思えませんでした。もともとホームスクーリングでしたし、そのままホームスクーリングを続行することに決めました。
ホームスクーリングの限界
わが家は、長女が4年生のころからホームスクーリングをしています。長女も7年生まではホームスクーリングをしていましたが、長女自身がホームスクーリングに限界を感じていました。
長女は難しくなる勉強に、やる気を維持しきれなくなり、1日分の勉強も終わらせられなくなっていました。また言語の壁もあり、私が教えることにも不満を感じていたようです。
田舎のホームスクーリングでは提供できるアクティビティや出会う人たちが限られてしまうことも大きな理由です。
ここで私の「13歳で寮生活なんて早すぎる」、「低年齢で他の人に子どもを託すなんて無責任」という概念が崩れ始めました。
ボーディングスクール以外の選択肢
ボーディングスクールを検討したときに、私達夫婦にあった選択肢は、他に3つありました。
- ホームスクーリングを続ける
- 地元の公立中学校の特設クラスのテストを受ける
- 評判の良い学校がある街に引っ越す
1つずつ解説します。
- ホームスクーリングを続ける
ホームスクールを続けていくのは、長女にとってあまり良い環境ではないと判断したので、断念しました。
- 地元の公立中学校の特設クラスのテストを受ける
公立中学校の特設クラスとは、Opportunity classと呼ばれるクラスで、入学のテストで一定の得点を取得した生徒が地元の公立校に通いながら、オンラインで高いレベルの教育を受けられるように設置されたクラスです。このテストではかなり高い点数が求められるため、受験勉強が必要になります。
このテストを受けるために勉強をさせてもよかったのですが、長女が地元の学校に通うのを拒否したので、却下しました。
- 評判の良い学校がある街に引っ越す
大げさに聞こえるかもしれませんが、評判の良い学校のある街に引っ越すというのはよくある話です。特に子どもが多いとボーディングスクールに入学させるより、評判の良い公立学校がある街に引っ越してしまったほうが安いことが多いからです。
私が住む田舎街からも、一番上の子どもが小学校を卒業すると同時に他の街へ引っ越して行った家族をたくさん見てきました。
ただ、近年の物価の上昇で都会の家の値段が急上昇して、移住しにくくなっているため、八方塞がりになっている家庭があるのも事実です。
主要都市の物価の記事はこちらから
わが家の場合は先祖代々の農家で、この土地を売ってほかで農家をするなんて、そう簡単なことではありませんので、この選択肢は却下されました。
オーストラリアで全寮制中学に踏み切った理由
基本的には今でも13歳で寮生活を始めるのは早いと思っています。思春期の入り口に立っているような不安定な年頃ですから、親がそばにいたほうがいいと思っていますし、他人に任せるなんて、と思ってしまいます。
それでも、私たち夫婦が長女を全寮制の学校に送り出すことに踏み切ったのは、上記の書いた
- 地元の学校が通わせられるような学校ではない
- ホームスクーリングに限界を感じた
という理由に加えて、大きく分けて3つの理由があります。
友達がいない
長女の学校に全寮制中学を選択した理由の1つは、長女に友達がいなくなってしまったことです。
地元の公立中学校の評判が悪すぎるため、カソリックの小学校に通っていた長女の友達は、ほとんどが7年生で全寮制の学校へと進学していきました。
小学生のうちは、ホームスクーリングでも放課後のスポーツ活動に参加していれば、ほぼ毎日友達と会う機会がありましたが、全寮制の学校に行ってしまったら、もう会うことはありません。
友達との連絡はスマホの中だけになり、相手は新しい友達がどんどんできるのに、自分には新しい出会いがない、ということにもジレンマを感じていたように思います。長女が全寮制中学校に行きたいと言い出したのも理解ができました。
10代の友達事情は死活問題ですよね。
広い世界を見せたい
以前は広い世界は大学生になってからいくらでも見ればいいと思っていました。大学生になるまでは家族と一緒にたくさん思い出を作って、子どもらしく暮らすのが、子どもの精神的な成長においても一番健全だと信じていたからです。
それでも、小さい頃から好奇心旺盛で何でも知りたがり、やりたがる性格の長女が、田舎街の生活で手持ち無沙汰になっており、ホームスクーリングをしていても、最低限やることしかせず、こんなこと勉強したって仕方がない、と言った感じで、うちにこもるようになってきたとき、なにか間違っているかもしれないと思い始めました。
今は弁護士になりたいと言って、一生懸命勉強しています。
車がないとどこにもいけないような田舎街で、何もすることがないと暇をもてあそぶより、広い世界にでて、目標に向かってなにかすることを見つけるほうが、何倍も健全だな、と思ったのが2つ目の理由です。
精神的に準備ができている
長女を全寮制中学校に送ることに踏み切れた一番の理由は、長女が精神的に準備ができていたからです。
ホームスクーリングを3年間したこともあり、長女とはしっかりと話す時間が取れたので、思春期の心の動きや身体の変化、政治のことや交友関係、男女関係についても話すことができました。
図書館で本を借りてきたりしながら話しました。
長女はいろいろなことを理解していて、自分の情緒や身体のことにしっかり責任を持てると判断できたので、全寮制の学校に入学させることを決めることができたのだと思います。
いくら条件が良くても、長女が精神的に準備ができていないと思ったら、全寮制には送れなかったと思います。
「ボーディングスクールに送り出す前に子どもに伝えておきたいこと」は別記事に書きますので、お楽しみにしていてください。
FAQ:全寮制中学校についてよく聞かれる質問
- Q中学生の子どもは寮生活でホームシックになりませんか。
- A
長女はホームシックにはならなかったようです。ただ、子どもによって違うと思います。中には泣いている子もいるようです。寮にいる寮母さんはホームシックの子どもの対応に慣れているのでほとんどの場合は大丈夫。
しばらくすれば子どもも慣れるようになりますよ。
- Qものが盗まれたり、無くなったりすることはありますか
- A
長女いわく、残念ながらあるそうです。対策としては、あまりものを持って行かない、大事なものはロックがかけられるところに入れることです。
- Qお弁当はどうしているのですか
- A
長女の学校では、ランチは寮の食堂に戻って食べるようです。寮生でない生徒も別途お金を払うと、一緒に食べることができるようです。寮がキャンパス内にない学校は、朝サンドイッチを作ってもらえるかもしれません。
- Q寮には常に誰か大人がいますか
- A
寮には常に寮母さんがいます。長女の寮には2人の寮母さんが交代で生徒の面倒をみてくれています。驚いたことに、校長先生と教頭先生もキャンパス内に住んでいて、夕食は一緒にとるそうです。
- Q途中で公立の学校に戻ったり、転校する生徒はいますか
- A
います。学校が合わなかったと言って、学校を辞めたり転校する生徒は珍しくありません。オーストラリアの私立のボーディングスクールは入試がないので、寮に空いている部屋があり、費用が払えればすぐに転入することができます。
公立の学校から、ボーディングスクールに転入する生徒もたくさんいます。学年の途中で転入すると、学費や寮費の経済的サポートは受けられないので注意が必要です。
- Q寮の食事はどうですか
- A
あまり美味しいとは言えないようです。長女は、ランチは多分冷凍食品だと言っています。シェフがインド人なので、夕食はカレーが多いようで、飽きると言っています。
柚葉寮のご飯が美味しいと言っている子どもに会ったことがないです。
まとめ
13歳で全寮制の学校に送り出すのは、親としてもとても勇気のいることだと思います。
しかし、地元の学校があまりにも評判が悪い、子どもが本当に興味のあることがある、など理由が明確にあるのなら、全寮制の学校を検討してみるのも一つの解決策かもしれません。
13歳で親から離れて寮暮らしなんて早すぎる!と思っていた私ですが、長女が多くの知識を学び、経験をしながら活き活きと過ごしているのを見て、全寮制の学校に入学させたのは正解だったな、と私は感じています。
ご相談があればいつでもメッセージしてください。
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