世界中がウキウキする12月、オーストラリアも例に漏れず、クリスマスがやってきます。
雪景色に恋人たちが手をつないで街のイルミネーションを楽しみ、暖炉を囲み暖かいものを食べて祝う。
そんななんだかロマンティックな行事を思わせる北半球のクリスマスに比べて、オーストラリアのクリスマスは、ロマンティックとはかけ離れた行事です。
この記事は、オーストラリア人の農家の元に嫁いだ私の視点から、オーストラリアのクリスマス文化と過ごし方を書きました。
シドニーやメルボルンなどの大都市に住む方とはまたちょっと違った視点から、オーストラリアのクリスマス事情を楽しんでいただけたら嬉しいです。
オーストラリア真夏のクリスマスに何を食べる?
オーストラリアではクリスマスに何を食べるのか気になりますよね。私たちが想像する外国のクリスマスは、雪景色をバックに、オーブンから焼きたての七面鳥やローストビーフが運ばれ、テーブルの上にはパイやマッシュポテト、ワイングラスやシャンパングラスが並ぶ食卓ではないでしょうか。
しかし、オーストラリアはちょっと違います。何しろ、真夏ですから。
オーストラリアでクリスマスに食べるものと言えば、
- ハム
- 冷たく冷やされた七面鳥
- BBQ
- エビ
- サクランボ
- サラダ
- トライフル
- クリスマスプディング(クリスマスケーキ)
- パバロバ
- ビール
といったところでしょうか。それぞれ簡単に説明していきます。
ハム
クリスマス前になると、スーパーに大きなハムが並び始めます。ハムと言っても、スライスされて売られているハムではなくて、骨付きで2〜6Kgあるハムです。
そのくらい大きなハムが、大体$8〜$15/kg (1キロ当たり約800円〜1500円)ぐらいで売っています。
それをクリスマスの日に集まった人たちとわけて食べるのが、オーストラリアのクリスマスです。
パーティーのホスト(主催者)は、余ったハムをクリスマスの後3日間かけて食べるよ。
冷たい七面鳥
オーストラリアではクリスマスのお祝いはランチで行われるので、とっても暑いです。オーブンから焼きたての七面鳥が出てくるのは魅力的ですが、季節的に好まれません。
パーティの主催者はクリスマス前に焼いておいて、冷やした七面鳥を食卓に出します。
バーベキュー
オーストラリアのクリスマスと言えばバーベキューとはよく聞きますが、実は私は一度もクリスマスのバーベキューをしたことがありません。
バーベキューをするとなると、外でやらないといけませんし、焼く係になった人は地獄ですね。
ビーチ沿いの人たちはやるのかな。
エビ
茹でて、冷やされたエビは、魚介類をあまり食べないオーストラリア人にも人気です。冷やしたエビにレモンをかけて食べるのが主流のようです。
サクランボ
クリスマスシーズンになると出回るサクランボ。なんでクリスマスにサクランボなんだろうと疑問だったのですが、どうやら、もともと短いサクランボのシーズンがちょうどクリスマスシーズンに重なっているようです。
旬のものをクリスマスのお祝いに食べられるのは嬉しいですね。
サクランボは箱売りされているので、ギフトにも喜ばれますよ。
サラダ
オーストラリアのクリスマスは1人(一家族)1つの持ちよりが多いので、食卓は、サラダ、そしてサラダ、またサラダとなる場合が多いです。
いろいろな種類のサラダがこれほど集まるお祝いはそうは出くわしません。
トライフル
トライフルとは生クリーム、カスタード、フルーツ、スポンジケーキが交互に重なったデザートです。
イギリス発祥のデザートで、本来はスポンジケーキがアルコールに浸してあるようです。子どもたちが大好きなデザートなので、わが家のトライフルはアルコールフリーですが、アルコールの入ったデザートもおいしそうですよね。
私の夫は、トライフルがないとクリスマスは始まらないというほど、クリスマス=トライフルです。
クリスマスプディング
こちらもまたイギリス発祥のクリスマスデザートです。アルコール漬けにされたドライフルーツがふんだんに使われたケーキで、賞味期限がとても長いのが特徴。
好きな人と嫌いな人に分かれるケーキですね。
私はあまり好んで食べません。
夫いわく昔はクリスマスプディングの中に、祖父がコインを仕込んでいて、コインが入っていたらもらえる、というゲームをやって喜んでいたけど、今考えてみたら、汚いよね、と笑っていました。
絶対にやらないでほしいです。
パバロバ
数あるデザートの中で、子どもからも大人からも人気度が高いパバロバ。卵白と砂糖で作られたスポンジケーキよりもふわふわなケーキは、オーストラリアでは数少ない、口の中で溶けるようなケーキです。
トッピングには、マンゴーやパッションフルーツ、バナナなどのトロピカルなフルーツが使われることが多いです。
難点を言えば、パバロバは作るのが難しいらしく、作る人によっては、残念なケーキになること。
わが家の大家族(義父:10人姉弟)が集まるクリスマスランチでは、毎年パバロバを持ってくる叔母がいます。本当のパバロバがどんなものか知っている人たちは、毎年そのパバロバをとても残念に思っています。
おばさんがいい人だから、誰も何も言えないんだ
ビール
クリスマスにはステキなグラスでシャンパンやワインを飲む人たちも中にはいると思います。が、基本的には皆さんビールを350mlの瓶から直接飲むというオージースタイルです。
クリスマスは朝から夜まで飲み通しなので、みんなが帰るころにはゴミ箱が空き瓶ですごいことになっています。
子どもたちはビンを集めてリサイクルに持って行けば1本につき10セントもらえるので喜んでいます。
オーストラリアと日本のクリスマス文化の違い
食べ物を紹介した時点でかなりの文化の違いを感じてもらえたと思いますが、他にはどんな違いがあるのでしょうか。
クリスマスの食べ物
オーストラリアのクリスマスの食べ物は先述した通りです。
どこでで見たのか、先日、立って続けに3人ほどから、「日本ではクリスマスにケンタッキーフライドチキンを食べるんでしょ!」と聞かれました。
そういえば、クリスマス前になると、ケンタッキーのCMが頻繁にテレビに流れますよね。
オーストラリアにもケンタッキーはありますが(彼らはアルファベットの頭文字でKFCと呼びます)クリスマスにわざわざ食べるステータスまで到達できていません。
クリスマスプレゼント
クリスマスのプレゼントは、クリスマスツリーの下に大量に用意されます。これは欧米でもよく見られる光景だと思います。
私が子どものころは、1人に1つ、サンタさんに手紙を書いて、そのプレゼントをもらう。というものでしたが、オーストラリアは1つのプレゼントではすみません。
ただ、その中身と言えば、そんなに高価なものではなく、メインのプレゼントを1つと、あとは文房具だったり、洋服だったり、必要なものが贈られるのがほとんど。夫の従妹は、プレゼントは「歯ブラシ」だったと言っていました。
それはちょっと可哀そうだけど…
クリスマスツリーの下に大量にあるあのプレゼント、映画とかでもよく見ますよね。あれは、自分の子どもたちの分だけではなく、姪っ子甥っ子、義親、義兄妹などなど、すべての人たちへのプレゼントを一切合切置いているだけです。
プレゼントの山も含め「クリスマスツリー」で、子どもたちはプレゼントの山を見て、うっとりするのがクリスマスの醍醐味になっています。
日本では、クリスマスに姪っ子甥っ子、義家族にはプレゼントを贈らないですよね。オーストラリアは結構出費がかさむんです。
家庭によっては、ツリーの下に置いてあるプレゼントは、親から子どもたちへのプレゼントで、サンタは別にクリスマスの夜に持ってくる、としているところもあるようです。
予算がいくらあっても足りませんね
ちなみにわが家は、クリスマスはサンタさんがプレゼントをくれる日だから「親から子どもたちへのプレゼントは無し」でした(今は正体を知られてしまったので、親からのプレゼントとしてあげています)。
クリスマスの意味
日本でのクリスマスの意味は、どちらかというと「恋人たちのための行事」ですが、オーストラリアでは「家族」の行事です。
クリスマスだけは、他州に住んでいても帰ってきて、一緒にお祝いするといった感じです。日本のお正月に近いですね。
ちなみにオーストラリアのお正月は本当に何にもありません。1月2日から働きだしますし、街の中のクリスマスのデコレーションもまだ出しっぱなしです(2月ぐらいまで出ています)。
オーストラリアのクリスマス行事
オーストラリアのクリスマス行事で思いつくのは、サンタがサーフィンをしながらやってくることなどでしょうか。
私は実はまだ、サーフィンをしているサンタを実際に見たことがありません。
そこで、在豪20年の私のオーストラリアのクリスマスと言えばこれ!を紹介します。
クリケット
この暑い中、よくやるなあと思うのですが、クリケットはオーストラリア人にとって外せないクリスマス行事です。
クリスマスシーズンはちょうどクリケットの世界大会と重なっていて、ランチを満腹に食べた男性軍は、ゾロゾロとリビングルームに移動し、クリケットの試合を見ます。そして、ハーフタイム(?)になると、大人も子どももこぞって外へ行き、クリケットを始めます。
田舎だけでしょうか。たぶんオーストラリアならどこでも同じかと思いますが。
ビーチパーティ
ビーチは、私が住んでいるところからは大分距離があるので、わが家には当てはまりませんが、クリスマスをビーチで過ごす人も少なくないかと思います。
ただ、オーストラリアは公共の場ではアルコールを飲むのを禁止しているところが多いので、個人的に人を集めてパーティを開くのは、あまりしないのかもしれません。
各地でクリスマスのイベントが開かれるので、そこでパーティを楽しむと言った感じでしょうか。
ビーチにサンタが来る
サーフィンにのったサンタは見たことはないのですが、昨年のビーチでクリスマスを過ごしたとき、サンタがビーチにやってきました。
そのときは、サンタはモーターボートに乗って降り立ち、子どもたちにアメを配って、写真撮影をしていたのです。
遠くから眺めていた私たちは、子どもたちが行きたいと言うので、砂浜を走ってサンタがボートに乗り込む前に、捕まえました。
そして、バイバイとモーターボートに乗ってサンタが帰っていく先は、POLICEと書かれた大きな船でした。
警官が見回りがてら、サンタ役をかってくれたのですかね。粋なことをしますね。
オーストラリアのクリスマスソング
行事ではありませんが、オーストラリアらしいクリスマスソングがあるので紹介します。
オーストラリアのジングルベル
歌詞と翻訳を載せてしまうと著作権の侵害になるようなので割愛しますが、要約すると、rusty Holden Ute(さびれたホールデンユート*)の荷台にエスキー(保冷ボックス)を乗せてケルピー(犬)と一緒に田舎道を走り抜け、シングレットと短パン、ビーサンを履いて、家の庭のプール脇でパーティをしている家族の元へ行く様子が歌われたジングルベルの替え歌です。
*ホールデンはオーストラリアの車のブランドでした。(現在アメリカ)
*ユート(ute)は荷台のあるトラック
田舎の実家へ、クリスマスを祝うために帰るときのワクワクウキウキした雰囲気が伝わってくる、楽しい歌です。
クリスマスマーケット
クリスマスが近づくと各地でクリスマスマーケットが開かれます。シドニーなどの大都市で開かれる、大規模なクリスマスマーケットから、各街の商店街で開かれる、小さなマーケットまで様々です。
マーケットには、個人で出店することができ、手作りアクセサリーを作っている人や、陶芸品を作る人、手作り石鹸、手作りジャムなどを販売し、街をにぎわせてくれます。
私の住む田舎の商店街は、距離にして1㎞ない長さですが、両サイドにお店と、ちょっとした屋台が並びます。通行止めになるので、子どもたちは楽しく走り回り、大人はショッピングを楽しむ、穏やかな時間です。
まとめ
オーストラリアのクリスマスの過ごし方を紹介しました。
オーストラリアの田舎のクリスマス事情をお楽しみいただけたでしょうか。
真夏のクリスマス、未だに慣れませんが悪くありません。
オーストラリアへお越しの際は是非、オージークリスマスを楽しんでくださいね。
コチラの記事では、オーストラリア人の義家族に向けて、喜ばれるプレゼントを相手別に厳選したリストと、クリスマスプレゼントを安く済ませる方法を紹介しています。
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